それから

日差しがカンカンに照りつける夏の日、シャクティは家の横の物干し竿に洗濯物を干していた。シャツとズボンをかけ終わり、残りは家族三人分の肌着だ。
川で洗ってここまで持ち帰るだけでも汗をびっしょりかいてしまって疲れたが、もうひと頑張りだ。ウッソももうそろそろ畑仕事から帰ってくる頃合いだろう。
「よいしょっと…」
最後の一枚をかけ終わり、額の汗を拭うシャクティ。 夏の日差しが褐色の肌をつたう汗の粒を輝かせる。
「少し家の中で休もうかしら…冷たい水を飲みたいわ…」
毎日繰り返す仕事、それを片付けた時の感覚がシャクティはとても好きだ。洗濯物の入っていたカゴを手にすると、シャクティは家の玄関へ向かって行った。

「あっ」「あっ」

玄関の前でウッソと鉢合わせた。 ウッソもちょうど畑仕事が終わって一息つこうと家に戻ってきたところだった。
「汗がびっしょりじゃないかシャクティ」
「ウッソだって…」
「一休みしようよ…」

シンクの蛇口を捻って透明なグラスに水を注ぐウッソ。シャクティの座る長椅子の隣に座ってグラスを差し出す。
グラスを口に傾けるシャクティの横顔をじっと眺める。ごくごくと音を立てて水を飲むのど、そこに光る汗粒、ほのかに漂う汗と石鹸の香り…
凝視するように観ていると、グラスを置いたシャクティが不思議な顔をして見つめ返してくる。
言葉にはせずとも「どうしたの?」と聞いてくるようだ。
それに耐えられず、恥ずかしくなったウッソの口からとっさに出てきた言葉は「一緒にシャワー浴びない?」だった。

昼間の明るい居間で服を脱ぐところを見られるのは恥ずかしいとのことで、シャクティより先にシャワールームに入ったウッソ。
今更だよなァと思ったが、そういうところも含めて可愛いんだよなと思いながらシャワーで汗を流す。
しばらくするとカチャッとドアの開く音がした。
シャクティがシャワールームに入ると、白い湯気の中からウッソの手が伸びてきて、顔を引き寄せられた。
夏の暑さとシャワーで火照った頬、シャワーで濡れた栗色の髪、そして自分をじっと見つめる青い瞳…
その顔にゆっとりとした表情を向けながらシャクティは、両手の平をウッソの胸に重ねた。
前よりも厚くなったであろうウッソの胸の厚さを手のひらいっぱいに感じる。そして、体温が上がって早まった脈の音がドクンドクンと伝わってくる。
「えっ…?」
突然、シャクティの頬に添えていたウッソの手のひらが耳を塞いできた。いきなりのことに微かに困惑の声を漏らすシャクティ。
その小さく開いた口に狙いを定めたかのようにウッソの顔が迫ってくる。
ぴたりと唇が重なる。いつもと異なるのはふたりとも目を開けている点だ。
シャクティは突然のウッソの行動に目を大きく見開き、ウッソはそのシャクティの瞳がたまらなく愛おしく思えていちばん近いところで観たいと思った。
十数秒ほどただ唇を重ねているだけのふたり。お互いの体温を十分に伝え合うと、一旦唇を離す。
「はあ…」
声にならない息が唇から漏れ、相手の鼻をくすぐる。
シャクティの手がウッソの背中に回り強く抱きしめ、自然と自分の胸を押し当てる形になる。
過去に可愛がられてきたお姉さんたちと比べたらまだまだ小さいものの、日に日に存在感を増しているシャクティの連なる小高い丘のやわらかさを甘受するウッソ。
普段ベッドの上で可愛がっている小さなふたつの突起の感触もはっきりと伝わる。
次第に股間の存在感が高まり、上反って硬くなったものをシャクティのおへその下に擦りつける。
その感触に紅潮したシャクティの顔を見たウッソは、再度唇を近づける。今度はふたりとも目を瞑って唇を重ねる。
目を瞑ったシャクティには、シャワーの音と、ウッソと自分の鼓動の音しか聞こえない。
そこに、ウッソの舌先が唇を突いてくる感覚があった。それに応じて少しだけ唇を開き、ウッソの舌を迎え入れる。
ウッソがシャクティの舌の裏側を舐めると、今度はシャクティがウッソの舌先に形を合わせるようにして舐める。ふたりとも、相手の感じやすいところを熟知しているのだろう。
そうしているうちに、何も考えずただ舌を絡めあうだけになる。この瞬間がふたりにとってとても気持ちがいい。頭が沸騰しそうなくらいに熱くなり、相手と繋がっていることしか感じないからだ。
加えてシャクティは、両耳を塞がれているのでシャワーと心臓の鼓動の音を背景に、互いの舌先が絡み合う音と、唾液を交換し合う音が脳内に響き渡る。
ジュッ…ジュルッジュルッ…
頭がとろけて莫迦になっちゃいそう…と思ったところでウッソの唇が離れて、透明な線を引いた。同時にウッソの手も耳から肩へ下がる。
もっととろとろにしてくれてもよかったのに…と名残惜しむシャクティは、ウッソの背中に回した両手を緩める。そして、自らの腹に擦りつけられているウッソの怒張したものへ左手を添えた。
なでるようにすると、その先端から透明な先走り汁が溢れ出て、先ほどよりも硬さを増していることに気が付いた。上目遣いでウッソを見上げるシャクティ。

「こんなになっちゃって、すごいわウッソ…」
「シャクティが可愛いからだよ…どうして欲しい?」
「もっと…もっとおかしくなりたいの…」
「もっと熱くなりたい?」
「…んッ」

こくんと頷いたシャクティ。そのあごをくいっと上げるとウッソは再度、シャクティの両耳を塞ぐ。
そして、キスをするふたり。ウッソの舌が唇の隙間から入ってくる。すると上あごに強い違和感を感じるシャクティ。
「…ッ!?」
2回目の驚きの感覚だったがシャクティは目を開かなかった。ただ口腔から全身に広がる快感を享受するだけだった。
ウッソの舌がシャクティの上あごをなぞる。右から左までなぞると今度は下あごを…その次は舌を伸ばし、上の歯の、下の歯の裏側をなぞるウッソ。
じっくりと歯の裏をなぞったかと思うと、シャクティの舌の表面を舐めたり、側面をゆっくりとなぞってシャクティの味を堪能する。
(恥ずかしいし汚いわ、歯の裏なんかをウッソに…だけど気持ちいい…)
ゾクゾクっとした感覚が背筋を駆け抜けるが、すぐに快感に変わる。頭の先から足先まで体温が高まり、身体の底から炎が燃え上がるような感覚に襲われるシャクティ。
「たはあ…」
ウッソの口がゆっくりと離れ、透明な橋が架かる。
「ウッソ…」
「シャクティの味がしたよ…甘酸っぱくてとてもおいしかった。」
そう言われると、ウッソの口も味わってみたいという思いがふつふつと湧いてくる。ウッソの首に抱きつくようにし、顔を引き寄せるとまっすぐウッソの唇に重ね合わせ、舌を侵入させるシャクティ。
さっきまでのお返しとばかりに、遠慮なしにウッソの口腔を犯す。奥歯の表面を一本一本舐めてから歯茎を舌先でなぞるとウッソの身体がピクンと反応した。
(ウッソを食べているようで、食べられちゃってるみたいな、不思議な感覚だわ…だけどウッソも感じてくれている…)
舌の裏筋を突いたり奥歯の裏側の歯茎をなぞると声にならないウッソの嬌声が聴こえる。荒くなったウッソの鼻息がくすぐったく感じるが、それも可愛く思えた。
腰を小刻みに動かして、シャクティのお腹に透明な汁をぬりたくりながら、はちきれんばかりに膨らんだ肉棒を摩擦し始めるウッソ。
右手をシャクティのお尻に回して後ろからシャクティの秘部に指を這わせると、自分と同じく液が溢れていることが分かった。
お互いに限界が近いことが通じ合うと、自然と舌の動きが激しくなる。
くちゅっくちゅっ…くちゅるっ…ジュルルル…
重ね合わせた唇に隙間が空いたが、ふたりとも気にも留めない。音が漏れ、濃密に混ざり合った唾液が顎を伝い、シャワーに流されていく…
ウッソの指がシャクティの蕾を弄りまわし、シャクティの舌がウッソの舌をやわらかく、しかしどこまでも貪欲に絡めあう。
「んっはむんっ…うっ…そ……ッ!」
「むぐっ…んあっ…しゃく…てぃぃぃ…」
出ない声を無理やり出して、お互いの名前を呼びあった瞬間、同時に絶頂が訪れた。
心地よい脱力感とに包まれて抱きしめあうふたりは、シャワーを止めた後もしばらくの間シャワールームから出てこなかった。